選択肢 vs クォリティー

選択肢とクォリティー

「メニューを増やす予定はありますか?」

ask.fmでこんな質問をいただきました。長くなりそうなので、こちらに書きますね。

答えから先に言うと、もちろんあります!

メニューを増やす予定、というか「想い」はおおいにあるのですが、これがなかなか難しいのです。今回はその辺のことを書いてみます。

現在と過去のメニュー

メニュー、つまり商品アイテムって、言うまでもなくとっても大事なんです。どんなアイテムをいくらで何品くらい提供するか、メニューにはカフェオーナーの考えがつまっています。

2014年12月現在、エランズカフェのメニューはこんな感じです。

  • 黒猫珈琲
  • アメショ珈琲
  • 水出しアイスコーヒー
  • アフォガード
  • 山羊のチーズケーキ
  • 濃厚チョコレートケーキ
  • 薔薇ジャム添え シフォンケーキ
  • 焼きカスタード
  • とろとろプリン

紆余曲折しながら、しばらくは今のラインナップに落ち着いています。
オープン当初はかなり方向性の違うものでした。

  • 珈琲
  • 紅茶
  • クリームソーダ
  • トッピングが選べるパンケーキ
  • チョコレートパフェ
  • ハリネズミの形をしたシュークリーム
  • 猫の顔のマカロン

などなど。そうそう、オーダメイドデザインのホールケーキも好評でした。それらは開店一周年を境に、段階的にやめていきました。

選択肢と葛藤

開店当初は「自分ができることをあれこれやりたい!お客様の要望にはできるだけ答えたい!」と意気込んで、いろいろと手を出していたんですが、クォリティーを保つ自信がなくなってきたんです。

お客様のリクエストには応えたい、でもクォリティーを下げるわけにはいかない…。葛藤です。

その時に考えた解決策は3つです。

  • リクエストに応えてアイテムを増やす
  • スタッフを募集する
  • アイテムをへらしてクォリティーを追求する

どの選択肢にもメリットとデメリットがあります。

  • リクエストに応え続けるとクォリティーが犠牲になる
  • スタッフを雇うと人件費が経営を圧迫する
  • クォリティーを追求するとリクエストに応えられない

「できることを丁寧に」

考えた末に私が選んだのは
アイテムをへらしてクォリティーを追求する
でした。

自分が不器用なことを認めて、できることを丁寧にやっていく
これがエランズカフェ2年目からの絶対ルールです。

もちろんアイテム数をへらすと、お客様にはがっかりされます。たくさんのお客様とお別れしなくてはなりませんでした。何度も何度も頭を下げました。売上は急降下しました。2012年はとても苦しい一年でした。

時間をかけてアイテムを吟味し、レシピ・材料・仕入先を見直しました。作業手順やキッチンのレイアウトも徹底的に整理しました。

少ないメニューの大きなメリット

アイテムをへらすことによって生まれるメリットは予想以上でした。

  • 回転が上がるのでいつも出来たてに近いものを提供できる
  • 廃棄ロスがほぼゼロになる
  • 仕上げの工程がシンプルになり提供時間を短縮できる
  • 材料の品数が少なくなったので大量仕入れが可能になり、
    同じ原価率でより高い品質のものを使うことができる

また、焙煎機を買い換えたことで珈琲の味がグッと向上しました。それからメニューとは直接関係ないのですが、もっとゆったりしていただこうと、席数を12席から10席に減らしました。

オープン当初を支えてくださったお客様のご要望に添えなくなったことは大変に心苦しかったのですが、その後徐々に新しいお客様が増えてきたことを実感した時は、本当に嬉しかったです。

まとめ

大切なのは、「できること・やりたいこと・求められてること」のバランスを見極めることと、目先の売り上げではなく少し長い目で、自分と店とお客様を見つめることだと思います。

最初の質問に戻ります。
今後新しいメニューを増やす予定は、もちろんあります。
しかし、ひとつ増やす時は同時にひとつ減らすつもりでいます。どれを減らして何を加えるか、増やす必然性はあるのか、お客様に満足していただけるのか。そんなことを日々逡巡しています。

すぐに新しいメニューを提供することはできませんが、既存のアイテムのバージョンアップは近々できるはずです。毎日試作と試食を重ねています。ご期待くださいね。