『濃厚チョコレートケーキ』をリニューアルしました!

寒い日が続きますが、春の兆しも感じられるようになりました。いかがお過ごしでしょうか。

さて、今回は『濃厚チョコレートケーキ』リニューアルのお知らせです。

リニューアルの経緯

珈琲にベストマッチなスイーツといえば、チーズケーキとチョコレートケーキです。

エランズカフェでは開業当初から、このふたつのケーキがメニューのトップを飾り、レシピも変えずにずっとやってきました。

ですが、いつまでも変わらないことは必ずしもいいことではないような気がしてきました。

お客さまは変わります。時代も変わります。もちろんわたしも変わります。とくにチョコレートを取り巻く環境はこの数年で大きく変わりました。

チョコレートというとちょっと前までは、ミルクチョコレート・ビターチョコレート・ホワイトチョコレート、くらいの分類しか一般的でありませんでした。

それが今では、「70%」「86%」というカカオ率や、「エクアドル」「ベネズエラ」などカカオ豆の原産地が書かれているものが、コンビニやスーパーにも置かれるようになりました。

これは、とても大きな変化です。
パティシエやショコラティエではない一般の方の、チョコレートに関する知識が飛躍的に増えたと同時に、味覚も洗練されたのだと思います。

苦みは「おとな」にしか楽しめません。
子どものころ、親が飲んでいた珈琲をこっそりなめたときにはその苦さにびっくりして、「よくこんな苦いものを大人たちは飲めるもんだな」と首をかしげました。

チョコレートも、あれほど苦いと感じていた「BLACK」という板チョコをいま食べても、苦みどころかむしろマイルドに感じるようになりました。
苦みに対して鈍感になると同時に、その奥にあるおいしさがわかるようになってきたということなのかもしれません。

また、カカオ豆の違いを楽しむ人も増えました。
最近のチョコレート業界では「bean to bar」が大切なキーワードの一つです。「カカオ豆から板チョコへ」というような意味です。

大量生産された工業製品的なものではなく、産地の風土や生産者の苦労に思いをはせることができるチョコレート。
これは、いっときのブームなどではなく、文化レベルの向上なのだと感じています。

時代とお客様の変化に、エランズカフェもついていく必要がありそうです。

新しいチョコレートケーキのコンセプト

さて、前置きが長くなりました。
新しいチョコレートケーキの話です。

キッチンに向かう前に、他のお店のチョコレートケーキを食べ歩くことから始めました。
東京のデパートをはしごして、気になるものを買い集めて食べ比べをしました。コンビニやスーパーで手に入るチョコレート菓子やチョコレートアイスもかたっぱしから食べました。

メモをとりながら食べ続けると、だんだんイメージが明確になっていきます。

たくさんのキーワードがノートに書き散らされました。
その中から大切にしたいキーワードを取り出してしぼり込んでいくと、結局いつものコンセプトに落ち着きます。

  • シンプルであること
  • 気をてらわないこと
  • 大人のためのスイーツであること

材料と特徴

コンセプトを大切に、納得のいくレシピが出来上がりました。

材料は5つです

  • 70%カカオののクーベルチュール(製菓用のチョコレート)
  • ピーナツオイル
  • 水あめ
  • ラム酒

新しいチョコレートケーキの特徴は、ピーナッツオイルと水あめです。

チョコレートは温度によってなめらかさが変化します。
チョコレートに含まれる油脂分は低い温度で固まり、口どけを悪くします。
他のパティシエのレシピを拝見すると、どのお店もこの口どけのコントロールに苦心されていることがわかります。

口どけを良くするための解決策は大きく分けて2つです。
ひとつは小麦粉や泡立てた卵白などを加えることによって空気を含ませることです。
ふわっとした食感になりかろやかになりますが、それは味が薄まることでもあります。今回はしっかりとした濃厚さを求めているのでこの方法はとりません。

もうひとつの解決策は、油脂分を増やすことです。
チョコレートケーキを簡単に定義すると、カチコチのクーベルチュールにバターや生クリームなどの油脂分を加えることによって味と食感を調整したもの、です。

油脂分を加えるほどにクーベルチュールは固体から液体に近づいていきます。
生クリームをたくさん加えるとビター感が損なわれます。バターをたくさん加えると油っぽくなります。

濃厚だけど重くない、そんな矛盾したチョコレートケーキをイメージしているわたしにとっては悩ましいところです。
そこでバターの代わりに植物性のオイルを使うことにしました。

植物性オイルはバターとちがって室温で固まったりはしません。使用量もバターに比べて半分くらいで充分になめらかになります。なめらかなのに胃に負担がかかりません。

数ある植物性オイルの中でピーナッツオイルを選んだのは、ピーナッツの香りがコーヒーによく合うことと、熱を加えても変質しにくいからです。

甘みの調整に砂糖ではなく水あめを使うことにしたのも、なめらかな口どけにするためです。

あじわい

チョコレートケーキ

おいしくできました。ガッツポーズです。

冷蔵庫から出したばかりのひんやりとした温度でも、フォークがすっと入るほどのなめらかさです。
口中に濃厚なチョコレートがねっとりとまとわりつき、飲み込んだあとも余韻がいつまでも残ります。
カカオ由来の苦味をしっかりと感じます。まさに大人のためのケーキです。
カカオとピーナッツとラム酒の香りが一体となってうっとりします。珈琲はもちろん、ウイスキーやブランデー、赤ワインなどのお酒にも合いそうです。
二口くらい食べたら、ソースをつけてみてください。グランマニエというリキュールに漬けこんだオレンジの皮を生クリームに散らしてあります。口の中がオレンジの爽やかな香りでつつまれて、新しいハーモニーが生まれます。

とっても濃厚なので、珈琲と交互に、ゆっくりとお楽しみください。

むすび

じつは、『とろけるチーズケーキ』と同時進行で開発していたのですが、レシピをつくるのに迷走してしまい、予定よりも1ヶ月以上も提供開始が遅れてしまいました。
なんとか完成したことにホッとしています。

もちろんこれは、新しい『濃厚チョコレートケーキ』のバージョン 1.0です。

わたしの大切にしている言葉の一つに、『ゴールはスタート』というのがあります。
お客様の反応を伺いながら、ちょっとずつ改良を重ねます。
火加減や材料のバランスをもっとつきつめていきます。
使っているカカオもさらに良いものがないか探しているところです。

そんなわけで、しばらくは味が不安定になるかもしれません。お気づきのことがありましたら、ぜひお聞かせください。

1皿400円、お持ち帰りは1ホール(5皿分) 2000円です。

以前の『濃厚チョコレートケーキ』のお持ち帰り用は1ホールが3皿分で1000円でした。1ホールの価格が2000円と倍になってしまったことを心苦しく思います。
小さなサイズだとどうしても焼き加減が不安定になるため、1ホールのサイズを5皿分と大きくしたことと、1皿分にふくまれるクーベルチュールの量を約2.4倍にしたことが理由です。クーベルチュールのグレードもアップさせました。

チョコレートがお好きな方ならきっと満足していただけるものに仕上がったとおもいます。ぜひ一度お試しください。

フレンチトースト

おっとっと、今回はもうひとつお知らせがあるのを忘れるところでした。

フレンチトーストがおいしくなりました!
鉄板で提供することにより、ゆっくりめしあがってもいつまでも温かく、ふわふわトロトロのフレンチトーストをお楽しみいただけます。

期間限定で「薔薇ジャム入りミルクアイス」を添えて提供します。

エランズカフェの珈琲とスイーツで、ゆったりとした時間をお過ごしください。